“同じ目の高さ”が生んだ奇跡~10/8 富山野外ライブ~

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アリーナツアー直後の
「特別野外ライブ」への期待

1年ぶりの富山、環水公園への道

昨年の「fotw」ツアー以来、10か月ぶりの富山は、「Kalafinaあるある」だった。
つまり、雨だ。

と、前回の富山オーバード・ホールの書き出しを踏襲してみたが、今回は事前の天気予報によると、ちょうどライブの時刻に雨の降る確率90%!
これは大変なことになってるだろう、と思いながら、開演1時間ほど前、夕方5時にJR富山駅に着いたところ、

……やんでいる!?

あとで話を聞くと、天気の推移が早まったようで「確率90%」の雨雲はリハーサル時に直撃。
リハーサル前からスタンバイしていたファンは、私服姿の3人を見られる代わりに、けっこうな雨という試練を受けたそうな。
(今さらではありますが、みなさん風邪など引かなかったでしょうか?)

10月8日(土)「スターダスト・イリュージョンin環水公園」特別野外ライブ@富山市富岩運河環水公園南側 特設ステージ。

私が今回のイベントに遠征を決めたのは、これがアリーナライブの直後だったから。

9月中旬、神戸ワールド記念ホール&日本武道館・各2daysで、のべ3万人以上の観客を相手に「音のエンタテインメント」を盛大に披露したばかりのKalafinaが、その直後、最初の公の場での歌唱が、地方で野外で無料でピアノ・アコースティックという最小規模のシチュエーションで、いったいどのようなパフォーマンスを見せるのか、気になったからだ。

「特別ステージ」とは「借景」だった!

富山駅北口、オーバードホールを左手に過ぎながら、最近整備されたらしき広い歩道を歩くこと約10分。
昭和初期に作られた富岩運河を中心に、近年、親水公園としてよみがえらせた「環水公園」の、運河の岸辺に会場はあった。

会場、と言うと聞こえは良いが、岸辺の斜面の一番下、運河に面したところに8m×4mほどの大きなテントが設置され、譜面台やキーボードスタンド、照明器具などが設置されている。
資料に書かれている「特設ステージ」に至っては……正確にはステージがない
床は、地面を厚手の複数枚のグレーのパンチシート(黒ガムテープで留めてある)で覆ってあるだけだ。
つまり、ステージ(仮)と観客席が地続きの平面上にあるのだ。(※公園の芝生上、ということで、設置に制約があるのかもしれない)

その代わり、テントの後方には運河を挟んでライトアップされた「日本一美しいスターバックス」が眺められ、美しい背景を作り上げている。
つまりは、運河沿いの広々とした風景とライトアップされたスタバを「借景」にして、このステージは成り立っているということ。
この試みは、まさに屋外ライブとして興味深い。
ここまでアリーナとは対極のシンプルなセッティングになると、ますます来た甲斐があるというものだ。

観客は、テント正面を囲み、緩いスロープの芝生上に300~500人ほどがスタンディング。
ヨチヨチ歩きの子を連れた家族連れや、中学生の男女グループ、カップル、老夫婦etc.
まさに地元の無料イベントならではの幅広さに、ホッコリする。
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イベントスタート!まずはKalafina初の…

午後6時過ぎ、イベントはスタート。
「スターダスト・イリュージョンin環水公園」という名の通り、運河周辺のさまざまな施設をこの日から約半年、夜間にイルミネーションで飾るイベント。
そのスタートを飾る、点灯式をKalafinaがおこなうことから始まった。

地元民放の女性アナウンサーの司会によりテント下に呼び込まれた3人。
衣装はアコースティックを意識したであろう、“far on the water”の白のロングドレス。

会場全体のカウントダウンで3人が同時にボタンを押すと、運河の橋や公園のツリーなどが一斉にオレンジ色の光で輝きだした。
富山市内観光や、カップルたちのデートコースとして賑わうんだろうと思われる。

Hikaruはまさか、自分が故郷・富山にいた頃は、こういう地元観光イベントのスタートを担う、なんて想像してもいなかったろうな…、とか3人を見ているうちに、あっという間に3人は退場。
ライブのスタンバイに入った。

歌い手と聴き手が同じ目の高さ、
という奇跡

Hikaruの故郷の暖かさと、
溶け込もうとするWakana、Keiko

ほどなくして、ピアノの櫻田泰啓と、それに続いて3人が再び登場。
私の隣にいた地元中学生らしき女の子グループは、小声で「キレイ!キレイ!」「なになにすごいー!」と完全に興奮状態。
10か月前の富山、Hikaru悲願のオーバードホール・ライブの時に詰めかけていた学生たちを思い出す。(「HikaruがOne Lightになった夜」

セットリストは、
1.storia
MC
2.輝く空の静寂には
3.ひかりふる
4.君の銀の庭
5.ring your bell
MC
6.into the world

「歴史秘話ヒストリア」と「魔法少女まどか☆マギカ」から2曲ずつ。「黒執事」「Fate/stay night」から1曲ずつという、初見のお客さん向けの親切ラインナップ。
MCもまた、最初の挨拶からして、地元密着イベント仕様。

Keikoは観客の最前列にいるらしい小さな子どもたちが気になって仕方がなく、「そばに行きたいんだけどおおお」と子どもと遊びたいモード。
Hikaruは、「Hikaruです。…えーっと、ただいま。久しぶりに返った富山の空気は美味しいな。」とデレデレ帰郷モード
とてもアリーナ数千人の観客を手玉に取ったアーティストとは思えない、ふわふわぶりだ。

一方、歌の方はしっかりと、いつものハーモニーを地元密着仕様で響かせる。
ほんの数メートル前の老若男女の観客に、やわらかく語りかけるように、丁寧に歌っていく。

ステージとは言えなさそうな高低差のないシートは、本来は決して良い環境ではない。
後ろの方の観客は、かなり3人が見えづらかったのではないか。

しかし3人はこれを、「お客さんと同じ目線で歌うことができる」絶好の場と受け止め、まさに目の前の「あなた」のために歌っていた。
ライブハウス、コンサートホール、巨大アリーナとそれぞれの場での歌い方を身につけていったKalafinaが、その直後に、河川敷の芝生の上での小イベントならではの歌い方を披露するのを見て、何か無性に嬉しくなった。

どこまでも広がる歌声と
目の前のお客様に近づく親しさ

広大な闇の運河べり。
その一角で奏でられるピアノと3人の歌声が、反響することなく、夜の静寂の中をどこまでも広がっていく、

歌のクライマックスで、雨上がりの涼やかな風。
3人の真っ白なドレスがふわりとたなびくと、まるで観客もMusic Videoのなかにいるような感覚を覚える。

秋の虫の音。
水面で揺れるLEDの灯。
子どもたちの笑顔。

すべてが3人のハーモニーと混ざり合い、今、この場でしか体感できない、音楽空間を創り上げていた

2度目のMCで、最前列の子どもたちが気になって仕方がないkeikoをみて、WakanaとHikaruが「前に出ようか!」。
なんと観客に近づくため、シートから前に出て、雨上がりの泥の上に踏み出してしまった。
汚れないようにと裾を手に持ってはいるが、「fotw」仕様のロングドレスは、どこかが地面についてしまう。

それでも、真っ白な衣装が泥に汚れるのを意に介さないかのように、「こんなに近いよー」と3人ははしゃいでいた。

話す内容も、その場から見えるもの、感じたことをそのままトーク。

K: 環水公園ってきれいだね!
H:私が住んでるときはそんなでもなかったよ。
スタバは東京にもあるんだけど、環水公園のはひと味違うと聴いて夜・昼2度行ったよ!
K:知ってる?あの橋の赤いライトアップ、「愛の糸電話」って言うんだよ。
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W:塔と塔を繋いでるんでしょ?ロマンチックー!
H:私、展望塔のぼった。
W:高いところ大丈夫-?
H:うん、ぎりぎり、ちょっとだけ外をのぞいた。
K:あ、橋のところからこっちに手を振ってる人がいる!うれしいー!
W:すごーい、私たち映ってるー!(※プロジェクションマッピングで建物に映し出されていたらしい)
K:みなさんと同じ目線で歌えるのは、ここだけしか味わえない感覚だよ!
W:走って、転ばずにみんなのところへゆけるよ!

計算とリハーサルの上で成り立つ「エンターテインメント」=アリーナライブとは正反対。
限りなく雑談っぽく、そして、とても素に近い身近なKalafinaの魅力だ。
高いステージに立っていては、この空気感は出ない。
同じ目の高さ、というのは、これほどまでに奇跡的な幸福感を生み出したのだ。

限りなく優しかった“アレルヤ”

Keikoが語るKalafinaの現在形

ラスト曲、“into the world”の前のKeikoが語る。

「Kalafinaは3人でひとつですけど、ひとりひとりが違ってて。そんな違う3人が集まっているから、Kalafinaの独特のハーモニーができているんだなって。」

ここだけは、アリーナライブと同じことを語っていた。
Kalafinaにとって、ひとりひとりがソリストであり、ソリスト対ソリストがKalafinaのハーモニーなんだ、という信念を、まるで確かめるているかのようだ。
地方の密着型ミニイベントでも、3人のKalafinaへの真摯な姿勢は変わらない。

そして、アンコールは“アレルヤ”。
最近、さまざまな会場ごとに、さまざまな表情を見せてきた、祈りの曲。
今回は、新アルバムhttps://www.amazon.co.jp/Winter-Acoustic-%E2%80%9CKalafina-Strings-Kalafina/dp/B01LPOV7LK/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&linkCode=ll1&tag=wakakekohika0-22&linkId=5aef93fa399602a9cd546379e4bf0ec3のために、櫻田がアレンジし、レコーディングしたばかりの“piano version”の初お披露目だ。

ゆったりと、ひと言ひと言ていねいに。
この日、この時間、この場所に、ひとりひとりが集えたことのへの賛美(Alleluia)
目の前にいる人々、ひとりひとりへの感謝を込めた、包み込むような“アレルヤ”だった。
こんなに優しい“アレルヤ”は、はじめてのように感じた。

歌い終わると、記念写真。
そして去り際に、Hikaruが12月の“with Strings”をアピールし、再び富山に戻ってくることを宣言。
イベントは終了した。

いつ、どこでも
Kalafinaが行けばそこが音楽世界になる

帰り際、運河ベリの道は真っ暗だった。
ライトアップされた橋や施設は、はるか彼方。
ここまで光は届かず、街方向へ向かう人は皆、表情は見えない。

でもどの人影も「すごく良い体験をした」という充足感があふれ、闇のなかでも生き生きとしていた。

プロモーション的な意味あいでは、今回のイベントはあくまで“with Strings”の前宣伝だったのかもしれない。
しかしKalafinaの3人は、この時間、この空間でしかできない音楽の世界を創りだした。

どんな会場であろうと、どんな規模のイベントであろうと、そこでしか創れない音楽の世界を全力で生み出す。
ファンとしては嬉しい一方、これはつまり、どんな公演でも見逃せないという宿命だ。

“with Strings”開幕まで、ひと月半。
それぞれの公演で、どんなKalafinaが創られるか、楽しみは尽きない。

あとは、泥で汚れてしまった“fotw”の衣装が今後どうなるのかだけが、気がかりである。


【123日本武道館、準備はいい!?宿泊の予約は!?双眼鏡は!?予習は!?】
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