我愛你们、上海!~Kalafinaライブ・イン上海~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 

Kalafina公演会場から見えた上海

Kalafina、6年ぶりの上海公演。
私が上海に到着した5/9(月)、2days公演の初日は、Kalafinaあるあるの雨。午後は小雨気味だったのが、開演時刻・夜7時15分が近づくにつれ、雨足は強くなっていった。

私は1999年から2005年にかけて、上海をはじめ中国各地をたびたび訪れていた。
当時はまだ北京オリンピック前で、先進都市・上海であっても街行く人の服装は垢抜けておらず、おじさんたちは路上に唾を吐き、母親は高級デパート前の植え込みで平然と赤ん坊におしっこをさせる、という状況だった。

しかし、日々刻々と変わる街、と言われる上海は、すっかり様変わりしていた。若者たちはおしゃれになり、路上に唾を吐く人はいなくなり、むしろ名物のプラタナス並木がある分、東京よりも落ち着いた都会という印象さえ受けた。中国恐るべし。

午後6時半すぎ、夕闇が迫る地下鉄10号線・陝西南路駅の出口から道へ出るや、だみ声のおじさんが「○○○票(ピャオ)~?、○○○票~?」と、若者たちに声をかけている。しかも、会場へと向かう道の横断歩道の手前と向かい側など、道の節目ごとに立っている。
まるっきり日本と同じたたずまいのダフ屋たちを眺め、仕事の様式が似た雰囲気を醸すのか?共産中国的にはダフ屋はどうなのよ?そういえば日本でKalafinaライブにこんなにダフ屋が出ているのって、見たことないな~、等思いながら、数分で会場到着。

上海文化広場。
キャパ1900人というので、横浜BLITZ(1700人)と中野サンプラザ(2200人)の中間ぐらいか~、小さめの会場かな~?と思っていた私の眼前に現れたのは、
DSC01937

DSC01939

DSC_0417という、ハイパーオシャレで余白の多い巨大な建築に、奥にはなんと、Kalafinaの特大パネル!(ホールが大きいから目立たないが、近くに立つ人と比べてみてください。)

そもそもこのホール、かつて文化大革命の時には紅衛兵たちによる知識人糾弾集会が開かれたりした、血なまぐささも漂う旧・文化広場が取り壊され、2011年にオペラやミュージカルが演じられる華やかな新・文化広場に生まれ変わったものだとか。
入場列には、街なかでは見ないほどの着飾った10~20代。なかにはゴス系の衣装の女の子まで。男女比は半々ぐらいか。
「ヒストリア」が放送されていないせいか、観客層は日本よりも若く、圧倒的に若者だらけ。
チケットには、“Kalafina”と「華麗菲娜」が両方書かれているが、場内では“Kalafina”しか見かけない。

一方で、チケットのもぎりもセキュリティチェックは、軍服チックな制服姿の厳ついおじさんたち。
荷物はX線チェックを受け、ペットボトルや食べ物を持っていると、叱りつけるように全部没収。
昔ながらの中国と、新しい中国。その両方が極端に姿を現す。

ロビーには、中国のファンサイト(楽園之扉 梶浦由記中文網)や、上海の政府機関や文化団体、さらに谷村新司夫妻からのスタンドフラワー。
一角に人が集まっていると思ったら、上海のファンが描いた巨大なKalafina絵に、みんなが寄せ書きをしていた。
DSC01947トリミングボカシ
ロビーで出会った日本からのファンと一緒に、「すげ~!」と日本語で感動していたら、企画者であろうか女の子が片言の日本語で「雨に濡れないように、丸めて持ってくるのが大変でした!」と嬉しそうに話しかけてくれた。
その熱い言葉に、よけいウルッとくる。ありがとう!上海のファン!

ホールに入ると、赤と金のすり鉢型&バルコニー、3階構造の客席。
まさに「国家の伝統的な音楽祭会場」に圧倒されるが、その座席には、ちょこんと可愛い小旗が。
ファンが作ったもののようで、2日間とも異なるデザインが用意されていた。
DSC_0427
上が初日、下が2日目。
DSC_0428回転
裏には、日本と共通の「サイリウム禁止」等の注意書き。

格式とポップ、新旧の中国がせめぎ合う場で、若い世代のエネルギーが、何かを塗り替えようとしているように感じた。

熱狂!6年間待っていた上海のファンたち

(以下、ライブレポートは基本的に2daysの区別なく書きます。)
前回、Kalafinaが上海でライブを行ったのは、2010年2月28日、MAO Livehouse SHANGHAI。
初のアジアツアーとして、北京(取材のみ)→台北→上海→香港を転戦。
当時は国内初のライブツアー“progressive+”を終えた直後で、まだライブハウスでしか公演をしたことがなく、アルバムも“Red Moon”発売直前。つまり、アルバム“senenth heaven”周辺しか持ち歌がなく、アニメのタイアップも「劇場版 空の境界」と「黒執事」と「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」まで。
言い換えれば、まだ「まどか☆マギカ」も「Fate/Zero」も絡んでいない時代だ。

しかし台北、上海、香港とも熱狂的なファンに迎えられ、特に上海では、飛行機が5時間遅延して23時到着になったにも関わらず、ファンが空港で待ちかまえていたり、ライブでは1曲目から大合唱!という展開になるなど、当時の歓迎ぶりが伝説となっている。(Kalafinaブログ2010年3月3日 「上海パワー!」by Wakana 

その後Kalafinaは、香港と台北には足を運んでいるが、上海はその時以来の6年ぶり。
しかも、当時と今ではKalafinaの経験も評価も全く異なる。
はたして、どんなライブになるのだろうか?

オープニングは、「こいびとの昔語りの夕暮れの」。
フロントスクリーンには、一面のカオスな雲が渦へと変わる、まるで世界の始まりを思わせる映像が映し出され、やがて乾いた大地の「白い旗」へと結実していくなか、ビートの効いたドラマチックなコーラスが響き渡る。
静かな緊張感に包まれた会場で、日本でも行われた“far on the water”ツアーの定番オープニングが終わった瞬間、客席からは「Hyaaaaaaaaaaa!」「Wowoooooooooo!」「Kyaaaaaaaaaa!」の大歓声!
日本では、「拍手喝采!」というノリだったが、こちらでは拍手さえもまともに聞こえないほどのすさまじい歓声。

続く“monochrome”では、バンドメンバーのイントロで第1次歓声!
Hikaruの歌い出しで第2次歓声!
Keikoが艶っぽく身体をくねらせると第3次歓声!
そして間奏で3人がダンスを披露すると第4次歓声!
もう、ステージで何かあるたびに、「Hyaaa(以下略)」である。
観客席の前ブロックではすでにスタンディング状態となり、3人のクラップ(手拍子)に合わせて観客も手拍子で応えるが、「裏拍をとる」事に慣れてないせいか、てんでバラバラ。
それでもかまうもんかー!!とばかりの熱気とパワー。

曲が終わるや、さらなる大歓声!
すぐさま「五月の魔法」のイントロでまた歓声!歌い始めで歓声……以下、繰り返し。

6年間待たされた上海のファンは、3人の声が聴けることの喜びを素直に爆発させる。
これも後で聞いた話だが、前列の方では立ち上がるファンに対して、劇場係員が「座れ!」と指示していた(高級会場でスタンディングなどあり得ない!という規制か?)ようだが、あまりに皆が立つので抑えきれなくなった模様。
このせめぎあいは、若者たちの圧勝だ。

日本では、3人が歌い出すと「静かに聴かねば!」という勢いで観客は黙り込むが、こちらのファンは歌そのものに声援を向ける。
どちらの良し悪し、ではないが、ファンの熱気にステージ上のメンバーも熱く応える分、こういうノリも悪くない。(そういう意味で、1.23以外でのライブハウスver.の復活を切に願うモノである。)

ところが一方、小旗にも書かれていた「撮影禁止!」等の注意にもかかわらず、スマホで写真や動画を撮る輩があちこちに出没するという、日本ではあり得ない光景も頻出。
その都度、気づいた係員が、会場の後方、数箇所から一斉に赤いレーザーをそのスマホにロックオンして警告するという、まるで映画かアニメの銃撃戦直前!のような緊張感あるバトルも展開され、いろんな意味で文化の相違を目の当たりにした。

《上海でのKalafina人気を支えるのは…?》

上海公演は2日間とも、3人の調子がよく歌声がよく伸びるうえ、会場の音響が良いせいか、一音一音がくっきりと際立つ、上質な音が楽しめるライブとなった。
直前まで行われていた“with Strings”ツアーのおかげか、3人のハモリも本家fotwツアーよりきれいにハマっていた気がする。(たぶん気のせい?)
しかも、こちらも直前まで“with Strings”で帯同していた今野ストリングス4人組そろい踏みまであって、プレミアムな印象が強い。

そんな音楽の合間のMCも、Kalafinaに対するファンたちの前のめりのリアクションが印象的だった。

3人「大家好!我们 是Kalafina!(みなさん、こんにちは!私たちはKalafinaです!)」「(ファン:大歓声!)」
Wakana「こんばんはー!」「コンバンハー!」←日本語
「今夜は、たっぷりと楽しんでいってください!我是 Wakana!」
Keiko「みんな元気ー!?」「ゲンキー!」「我是 Keiko!」
いつもの丁寧な口調のWakanaに、いきなり元気にカマすKeiko。
そしてHikaruは…、
Hikaru「Thank you for coming!(ファンどよめき)I’m proud to perform here.(たぶんこう言ってた)」と、得意の英語でごあいさつ。

Keiko「Kalafina、6年ぶりに上海に戻ってきました!ただいまー!」「オカエリィィィィィィィー!」
K「今回のライブでは、さまざまな色彩の旅をお楽しみいただきたいと思っています。」
と、fotwツアーで定番の前口上を述べた後で…、

K「Do you know“KUROSHITSUJI”?」「(Wowoooo!)」
K「Do you know …“ARUSURAN SENKI”?」「(Wowoooooo!)」
K「Do you know……“MADOKA・MAGIKA”?」「(WoWOOOOOOOOO! KyAAAAAAAAAAAAA!)」
…Kalafina人気が、アニメ人気と直結であることが如実に分かる上に、「まど☆マギ」の人気ぶりはハンパじゃない。
というか、あそこまでのダーク作が公式にオンエアされているとは思えず、いったいどうやって見ているんだろう?
やはりネットなのだろうか?

この歓呼に応えて、fotwツアーと言いつつ“The BEST”のようなアニメタイアップ・セトリがスタート。
「輝く空の静寂には」
「ひかりふる」
「君の銀の庭」
「misterioso」
「One Light」
と、静かに“聴かせる”曲が多いなかでも、それぞれのイントロで歓声、歌い出しで歓声…という熱狂反応はそのままに、とにかく一曲ごとに「待ってました!」感激が全開という、これはアーティスト側にとっても嬉しいだろうなー、という反応。
「ひかりふる」で、冒頭のWakanaの♪ひ~か~り~が~♪の部分で、「おおおおおおおお!」なんてどよめきが起きる公演なんて、日本では見たことがない。

しかも「One Light」では3人がステージ上を左右動きまくるのだが、中盤でKeikoが上手でしゃがみこんで客席を見つめる定番ムーブメントでは、上手側で「おおおおおおおお!」と、わかりやすい反応。
一方で、♪僕は、ゆける!(バキューン!)♪という、日本では女性ファンの悲鳴が飛び交うHikaruムーブメントは、2daysとも不発。
やはり、いくら情報が入っていても、「慣れ」というものはあるのだ。

いつの間にか、スタンディングのファンは「捧げ手」やら、「ハイ!ハイ!ハイ!」のかけ声やらを習熟し、なかには周囲をきょろきょろしながら「これでいいのかな?」と確かめるファンもいたりと、ライブ期間中にプリミティブな熱狂から、様式を踏まえた熱狂へと変化していく姿が、微笑ましかった。

本編後半クライマックス!

そして、ピアノの櫻田泰啓のピアノソロから始まる、バンドメンバーの技がさえる“nightmare ballet”。
これも終わると同時に大歓声…なのだが、演奏中におしゃべりしたりスマホをいじる観客が多いのには閉口した。
確かに位置づけとしてはインターミッション的なパートだが、ここだけでなく、3人の歌の合間にも上海の観客はしゃべるしゃべる。
感想を言い合っているのかどうかはわからないが、少なくとも演奏中にしゃべったりスマホをいじる、というのは、なんとかならんか、と思う。

ステージは後半へ。
海の底で斃れた者が新たな生を得て、羽をまとい水中で舞うような演出の“into the water”~“in every nothing”。
一転して、袖の大きな衣装を脱ぎ捨て(もちろん大歓声)、赤と緑のエッジの効いた照明のもと、Keikoの低音を中心に3人の声が震え響き渡る「闇の音」。
そして、“believe”の「みなさんお待ちかねのアニメ曲!」的な盛り上がりの中、後半最初のブロック終了。
MCへ。

K「いやー、温度上がったね-。みんな、大丈夫ー?」「ダイジョウブー!」
K「せっかく久しぶりの上海のステージに立てたので、ここでみなさんに質問したいと思います!」
W「Kalafinaのライブ、初めて来た人ー?」「ハーイ!(ほぼ全員が歓声と共に挙手!)」
まだ見ぬ生Kalafinaを心待ちにしてきた人が、これほど熱く迎えてくれたのかと思うと、胸熱だ。
H「上海に住んでいる人ー?」「ハーイ!(観客の6割くらい挙手)」
H「じゃあ、上海に住んでない人ー?」「ハーイ!(観客の6割くらい挙手)」
K「ちょっと待った!www(前列の方を指差し)君、2回とも手を挙げたろ!?見たぞ!」「(大爆笑!)」
という、ツッコミまで自然にすべて日本語で進行する驚きの展開。
続いて…、
K「それでは、ここで私たちも中国語にトライしてみます!」(大歓声)

W「(カンペを持って)我○○○○○ショーロンポー!(観客爆笑!)私は心の底から、小籠包が食べたいです!」
「(2日目はさらに)でも、小籠包、まだ食べていません。昨日、焼きニラ餃子を食べました。小籠包は今夜、tonight、食べたいと思います!」

H「(カンペを持って)我○○○○○…○○○…(言葉の抑揚ごとに、紙を持ちあげたり降ろしたりするHikaru。その可愛いポーズにK&Wと観客は爆笑!)」
「(1日目)私は、上海の夜景と雑伎団が見たいです。」
「(2日目)私は、浦東(プートン)と外灘(ワイタン)の夜景が見たいです!」
K「え?その夜景ってきれいなの?」「キレイー!」
H「浦東の方がきれいと思う人-?」(パラパラ)、「外灘の方の人ー?」(大拍手!)
H「そっかー、じゃあ見るなら外灘にしよう。」
K「以上、中国語トークのコーナーでした-!」

…で、ひとしきりの歓声の後で、
K「今日は最初に、色彩、カラーをお届けしたい、と言いましたが、私たちのアルバム、“far on the water”から、この曲をお届けします。」
という前振りで、「うすむらさき」、
続いて“identify”“signal”とアッパーチューンになだれ込むや、観客は総立ち。
畳みかけるように「音楽」、そして演奏をつなげたままKeikoの「まだまだ行くよー!」を合図に始まる“heavenly blue”のイントロに入るや、観客は大爆発!
日本のfotwツアーでも見せた鉄板盛り上がりリレーは、異国の地でも同様の、いやそれ以上の爆発を見せた。

そして、上気した気分のまま、バンドメンバー紹介へ。
ここでも日本と同じような大歓声とともに、初日は日本からの遠征勢だけだった「ヨシオー!」コールが、2日目には上海ファンを巻き込んで大きくなっていたことは、特筆しておく。

K「みんな、楽しかったー?」「ハーイ!」
K「謝謝!…私たち、6年ぶりの上海ですが、6年前にもライブに来てくれた方、どれくらいいますか-?」「「ハーイ!」(まばらに挙手)」
K「ありがとうございます。…6年前、約束したんですよね、また上海に戻ってくるって。だから今日、ここに集まってくれたみなさんにも、約束したいと思います。
小指を立て、指切りげんまんのポーズをする3人。
K「約束だよ!また上海に戻ってくるからねー!
もはやこの段階で、大歓声。
そのなかを3人、中国語で(たぶん)再会を約束する文章を伝えるや、最後に…、

3人「我愛你们!(みんな大好き!)」

大歓声を受け、最後の曲紹介へ。
K「最後の曲です。」「(エエエエエエエエエー!?)」
K「歌を通して(客席に手を伸ばして)、みなさんとつながるような、そんな曲です。“far on the water”」

日本でのツアーと同様、海と空の空撮映像を背景に、「どこまでも、どこまでも」音楽が届くことを願うような、壮大な締めくくりで本編は終了した。

《伝説の再来!まさかのあの歌が!?》

メンバーが退場するや、今や日本の会場では聞かなくなった「アンコール!」の大合唱。
ところが、日本の「アンコール!」は、幾人かが声も枯らさんばかりに大声を張り上げ、他のファンがそれに応じる感じだが、上海では大勢が声をそろえて「アンコール!」を合唱する感じ。
国が違えば「アンコール!」も違う。
なお私は日本国内でも、「どんどんスピードが速くなってバラバラになり調整する東京」「一定のリズムを守って逸脱しない大阪」など、傾向が違うなー、と思っており、どこかで考察してみたいものだ。、

で、その「アンコール!」合唱だが、なかなかステージ上に動きがない。
それでも上海のファンは「アンコール!」のボルテージを下げることなく、辛抱強くKalafina再登場を待ち続ける。
日本でのfotwツアーでは、ここで“ring your bell (in the silence)”とともに旗を持った3人が入場し、勇壮に旗を振ったのちにステージ上に突き立てるパフォーマンス、そして“ring your bell”が始まるはずだが…、

どことなく妖しげな旋律が場内に流れ、観客は歓声とともにステージ上に目をやるが、誰も現れない。
いぶかしんでいると、客席中段の下手入り口にスポットライトが!
客席通路を、旗をかついで入場してくる3人!
あの日本武道館“Blue Day”の再現だ!

♪エエエ~エエエ~♪というコーラスが徐々に高まる中、3人は観客の熱狂のなかを悠然と歩いてステージに。
そして旗を投げ捨てるや、今野ストリングスの美しくもエキセントリックな音色で始まる、“Magia〔quqttro〕”!
先だってのMCから察するに、どうやら上海では「まど☆マギ」が一番人気のようだが、それに応えるかのようなボーナストラックに、観客は総立ち!騒然!で小旗を振って大歓声。
続くアニメタイアップ“to the beginning”では、会場のあちこちで合唱が始まり、盛り上がりは絶頂へ。
日本からの遠征組にとっても、この演出は予想だにせず、すさまじいサプライズが記憶に残る名場面だった。

K「アンコール、ありがとうございました!」と声援に応えた直後、2日目では観客が振っている小旗に気づき、
K「すごーい!いいなー、この旗ー。」(差し出すファン)「え?いいの?ありがとう!」
次々と旗を差し出すファンから、1本ずつもらってご満悦のW&K。ところが、律儀に?全部受け取ったHは、両手いっぱいに小旗が!
K「ちょっと、ひーちゃんもらいずぎだよー!www」

そして、上海でも安定のグッズコーナー。
H「中国語でやるね!」と、カンペを持って上海限定Tシャツの宣伝を始めたHikaru。
ここでも言葉の抑揚に合わせて紙を上げたり下げたりの動きに、観客席から「カワイイ-!」の声も。
そこにW&Kが絡んでくるうちに、いつの間にかグッズ紹介は日本語へ。
それでも上海のお客さんは、ひとつひとつにリアクションしてくるから見事である。

Kalafinaと中国をつなぐ歌

K「さて、今日は上海のみなさんのためにもう1曲、スペシャルな曲を用意しました。
中国の民謡で『モウ・リー・ファ』で…」
と言った瞬間に、“Magia”クラスの大歓声。

茉莉花」〔Mólíhuā〕は、上海近くの江蘇省で古くから親しまれている歌で、日本で言えば「さくらさくら」のようなもの。
今回は、これを梶浦由記が3声用にアレンジしたという。

櫻田泰啓のピアノで静かに始まり、暖かく、優しく声を重ねていく3人。
特にWakanaの愛らしいソプラノは、私たちがイメージする中国民謡にぴったりだ。

♪きれいな茉莉花、きれいな茉莉花
庭中に咲いたどの花も その香りにはかなわない
一つとって飾りたいけれど 怒られてしまうかしら♪(wikipediaより)

愛らしい歌がピアノと3声だけで奏でられ、観客がさざ波のようにゆったりと小旗を振り、合唱する。
今までに見たことがないKalafina。
最近は、谷村新司とのコラボや“with Strings Spring Premium”など、新たな可能性を積極的に試しているKalafinaが、ここでも何かを試しているかのようだ。

「彼女たちもアジアの国々とか海外で活躍していて、僕がずっとそうだったから、言葉の通じない国で歌う怖さも知っているし、感激も知っているし、だからこういう若い世代の人たちを応援できる形が作れればいいなと思いました。」(「SPICE」谷村新司インタビュー

日本で、アジアで、世界で、さまざまな人と出会い、刺激を受け、失敗を重ねながらも可能性を試し、ここまで成長してきたKalafina。
6年前、まだ本格的なライブ活動を始めて1年足らずという早い時期に、初の海外ワンマン・ライブ(ボストンでのイベント参加は除く)となった、アジアツアー。
正直、今に比べれば未熟だったはずのKalafinaを、上海のファンは空港で5時間以上も待ち続け、そしてその後は6年間も待ち続けた。
そんな上海のファンに向け、今のKalafinaの技術があるからこそできる3声の美しさを響かせる中国民謡は、最大のプレゼントになったに違いない。

こうして、とてもシンプルで優しく、暖かい歌声と共に、Kalafinaはまたひとつ成長していく。

ゆったりとした「茉莉花」が終わるや、間髪を入れず“ring your bell”のイントロへ。
通常Kalafinaモードへ切り替わると同時に、観客の叫びも熱狂モードに復帰。
3人は客席を見すえ、まっすぐに、力強く、会場を越えて世界へと届けとばかりに声を合わせる。
ステージと客席がひとつになった直後、

K「もう一曲!楽しんで聴いてください!“sprinter”!」
観客の合唱が始まった。初期Kalafinaライブのラストはこれ!という定番曲であり、2010年当時のアジアツアーでも最後に歌われ、今も各地で絶大な人気を誇る“sprinter”の登場に、上海文化広場は興奮の極みに達した。

はたしてこの高級なオペラ用劇場で、このような爆発的な熱狂は過去あったのだろうか?
小旗を手に、ステージの上下に分かれて歌うW&H、その間をKが行き来し、肩に、腰に手を回すたびに、女性客の大歓声!
そして♪君に会いたい、君が愛しい♪でも、指された周辺の観客がどよめきが上がる。
使い古された言い回しだが、「音楽は国境を越える」という言葉を実感するとともに、日本では味わえないほどの熱狂に遠征組である私も巻き込んでくれた、上海のファンヘの感謝で胸がいっぱいになった。

カーテンコール。バンドメンバーの紹介と「ありがとうございましたー!」に続いて、ブログ用の写真撮影。
一斉に席から離れて前列へと駆け出すファンたち。
微笑ましくも、どこまで自由なんだ?と思う一方、日本のファンもやや型にはまりすぎているところはあるかもな~、と感じた。

エンディングに定番の「未来」が流れるや、なんとKeikoが歌い出し、観客も大合唱!
挨拶のためにステージを左右に歩く間も、小旗を振り、観客と共に歌う3人。
K「また戻ってくるからね-!約束だよー!」と叫ぶとともに、3人はまた指切りげんまんポーズ。
ひとりずつ舞台袖に去る時も、仕草のひとつひとつに大歓声。
最後はWakanaの投げキッスに爆発して、いったい何回「大歓声」と書いたかわからないほど盛り上がった上海2daysは終了した。

熱気がこもった会場には、まるで優しくクールダウンさせるかのような「snow is falling」が静かに流れた。
Kalafina版“snow falling”ではなく、「劇場版 空の境界」の最終幕を閉じる曲を選んだのは、6年前のKalafinaを想起させながら、また会える日まで美しく記憶を保ち続けて欲しいという、願いなのだろうか。

この上海2daysを最後に、Kalafinaのワンマンライブは小休止。
次は9月、いきなりの神戸ワールド記念ホール(キャパ8000人)、そして日本武道館だ。
最近の谷村新司リサイタルへのゲスト参加や、“with Strings”ツアー、そしてメキシコや今回の上海で、さまざまな刺激や試みを経たであろうKalafinaが、4か月近い時間を空けることで、これらの経験を熟成させて、大舞台で活かすのは間違いない。

変わりゆく上海と、変わりゆくKalafina。
2者が交錯する瞬間に立ち会うことは、日本でのライブに慣れすぎた私自身にも、新たな視座を設けることにつながった。
そしてアリーナツアーでは、どのような変化したKalafinaを見ることができるのだろうか?今から楽しみだ。

【123日本武道館、準備はいい!?宿泊の予約は!?双眼鏡は!?予習は!?】
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメントを残す


%d人のブロガーが「いいね」をつけました。