Kalafinaライブは“口から音源”をはるかに超える~The Live Album『Kalafina LIVE TOUR 2014』~

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映像がないからこそ見える“ライブ・アーティストKalafina”
このレビューを書く前に、ためしにAmazonのミュージック・ジャンルで「ライブ」をキーワードに検索してみた。
結果は予想通り。大半はライブのブルーレイやDVDなど映像化商品で、音源のみのライブCDは、昔の名盤か洋楽がほとんど。視覚的な魅力を伴うライブを商品化するにあたって、音源のみのCD、というのは現在の業界的にレアケースなのは間違いない。
しかもKalafinaのようにビジュアル面でも人気のあるグループで、なんでわざわざ魅力を引き算した商品化をするんだ?、という疑問は当然だと思う。

これについては、プロデューサーであるM氏がFJC会報の中で、Yuki Kajiura LIVEのCDリリースをこう語っている。
「映像がない分だけ、逆にライブ感を感じられるというか、目を閉じるとホントにライブ会場にいるみたいな感じがする。そういう、ライブ音源ならではの醍醐味みたいなのはすごく面白いなと思っていましたね。(中略)ライブは全員が同時に音を奏でるので、それによってプレーヤーが想像以上の力を発揮できたりする。それはやはりレコーディングでは出せないもので、どっちがいい悪いではなくて、また別の良さがある(後略)」(FictinJunction CLUB会報 2015.Spring vol.25)

というわけで、このライブCDは目を閉じて聴くべし!
するとホントに、日本武道館を3か月後に控え、さまざまなレベルメーターがぐんぐん上がっていく最中のメンバーたちの凄みのある音楽が、耳を通じて心の底までグイグイ入ってくる。
映像がない、歌姫の顔が見えないKalafinaなんて!と思っている人も、ぜひ聴いて欲しい。

ライブだからできること・ライブならではの魅力
美しく静謐な調べを3声で奏でる“dolce”から、激しくも哀愁を帯びた“Adore” へ展開するオープニングは、彼女たちのハーモニー表現の幅広さを見せつけ、一気にKalafinaワールドに引きずりこむ。
続いて「屋根の向こうに」「I have a dream」「storia」と、弦楽四重奏に寄り添うようなゆったりファンタジックな世界。そして「うつくしさ」「Red Moon」「Magia(Quattro)」「to the beginning」と静かな妖しさから禍々しいまでの激しさへの展開は、Kalafnaのパラレルワールドで刻々と変わる風景に目を見張っているかのような感覚にとらわれる。
素朴さから華やかさまで変幻自在なHikaru。異世界へ連れて行くような伸びのあるWakana。優しさと妖しさと力強さで翻弄するKeiko。特に「Red Moon」は一曲の中で3人の表情が次々に変化し、その迫力に息をのむ。
以前発売された5周年記念ライブ集と異なり、ひとつの公演を丸ごと収録したことで、展開の魅力がそのまま伝わる。
ひとつのライブを通じて、チームKalafinaが何を表現し、伝えようとしているのか。
丸ごと収録ライブCDの魅力が、ここにある。

Kalafinaの歌声について、よくネット上で「口から音源」と評されることが多い。オリジナルのCD音源のピッチを正確に再現できる様子を語る褒め言葉だが、私はこれには異論がある。Kalafinaに限っては、それは褒め言葉にならない。それはごく当然の出発点でしかないからだ。
ギターの是永巧一は、このライブと同時期のインタビューでこう語っている。
「全体リハに入る前に3人でスタジオに入って、ハーモニーをためしてきてるんですよ。というのもKalafinaはリハの初日でCDの音が出て当たり前、みたいな感じなんです。」「いわばCDを制作した時点では曲が生まれ、ライブではどこまで成長させられるかをやっているということですね。だから、CDレベルの上にいかなきゃだし、そのために何が必要かを考えているんです。」(「別冊カドカワ 総力特集 Kalafina (ムック)」P93)

「口から音源」…それはリハ前にできているべきこと。
ライブの現場では、どこまで観客に音楽を伝えられるか、どこまで表現できるか。そのレベルで模索し続けたひとつの成果が十二分に詰まっているのが、このライブCDだ。

クライマックス…あ、あのMCが…!
中盤、「seventh heaven~acoustic ver.~」「snow falling~acoustic ver.~」「ひかりふる」は圧倒的に神々しく、「追憶」から「obbligato」「consolation」への盛り上がりはまばゆいばかり。特に「ひかりふる」のWakanaは、まさに女神ボイスの面目躍如の美しさ。
そして「君の銀の庭」「misterioso」「believe」という、直近の代表的アニメタイアップ曲を「待ってました!」とばかりに華やかに流麗に響かせ、本編終了。

アンコールは、この時でしか使われていない?怪しく激しいovertureからの気合い充分の「音楽」。畳みかけるように「heavenly blue」、そして最近のオーラス号泣曲として定着しつつある「アレルヤ」。充実した歌声とバンドの演奏、満場の観客とで創り上げた到達点がうかがえるクライマックスだ。

「アレルヤ」が発売されて2年。ライブで何度も聴いてきたが、最近なんで自分にとって号泣曲になってきているのかと考えるに、歌詞が圧倒的に“伝わる”ようになってきているのだ。
もちろん、音声としての歌詞は最初期の頃から聞こえているし、理解できている。
そういう意味ではなく、まさに表現として歌詞の心が“伝わる”。ここに、Kalafinaの歌い手としての成長がある。
「口から音源」はあたりまえ。
それをベースにして、スキルと情熱、そして観客と共に創るライブの空気があってこそ、伝わる表現になり得る。
Kalafinaはここまで来た。
でも、まだまだ先へ、まだまだ高みへ行ける。
そんなことを実感する、希望に満ちたライブ・アルバムだ。

最後のMCで、バンドメンバー紹介、カーテンコール、「未来」の手拍子、Keikoの「それではみなさん、来年武道館で会いましょう-!」の叫びまで入っているのは嬉しい限り。しかしその一方で、「アレルヤ」前のKeikoのMC…ライブハウスでスタートしてからの成長と、日本武道館への夢と、そこに観客のみんなと一緒に行けることの喜びと責任を語った、あの泣けるMCが収録されていないのが、個人的には唯一の残念ポイント。
もしかして制作サイドが、「このライブCDは音楽勝負!映像なしで勝負するのと同様、“泣けるMC”など不要!」というハードコアな姿勢で攻めているのだとすれば、私もまだまだ未熟である。

(関連ブログ)祝CD化!「Kalafina LIVE TOUR 2014 at 東京国際フォーラム」 って、どんな公演?

(参考・外部記事)
Natalie ナタリー Kalafina、5000人に美声届ける年内最終公演
http://natalie.mu/music/news/130293

アニソン・ゲーソンまとめブログ
「Kalafina LIVE TOUR 2014」東京公演感想まとめ 3人の奏でるハーモニーは心が震えるね!wakanaのラストの涙も印象的
http://blog.livedoor.jp/animesong_gamesong/archives/41064781.html
MUSICMAN-NET
Kalafina、2014ツアーファイナルで歌声だけでなく演出でもファンを魅了
http://www.musicman-net.com/artist/41311.html
リスアニ!WEB
ヴォーカル力だけでなく、演出でもファンを魅了!“Kalafina LIVE TOUR 2014”のファイナル公演は大成功!
http://www.lisani.jp/news/id106451

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